映画のウェブログ 「け」

23歳無職、自称映画ライター。本当に無職。

『レディ・プレイヤー1』考察 IOIって悪者? ノーラン・ソレントは悪役だけど、きっと良い上司?

こんにちは。『レディ・プレイヤー1』、見てきました。

 

おんもしれ~~~!!

 

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映画ファンの話題の切り口は大きく分けて主に以下の4つだと思います。

 

①様々な引用やサンプリングの面白さについて

スピルバーグのこれまでのポップカルチャーへの感謝と、彼がつなぐこれからの文化へのバトンについて

③新しいテクノロジーの可能性について

④非現実を享受できるメディアと如何に向き合うか?というメッセージ性について

 

このあたりは他の皆皆様にお任せするとして、この記事ではまた別の視点でこの映画を語ろうと思います。

ここでは「IOIって本当に悪者なの??」「ノーラン・ソレントってもしかして最高のリーダーなんじゃ?」という切り口で解釈していきましょう。鑑賞済みを前提に書いているのでネタバレにはご注意ください。

 

 

ひとつよしなに。

 

***

 

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* 

 

たしかに悪そう!!

 

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主人公と対立するのがIOIという大きな大きな会社でしたね。

 

膨大なマンパワー、最先端のテクノロジー、足元をみた交渉―――。

つまりすべてを「金」で解決しようとしている組織です。いけすかない。アイツらは1800円の重みとか知らないんでしょうね。

 

アベンジャーズ早く見たいけど、連休だと映画館が混むから少し間を開けるか?」, 「でもモタモタしてるうちにネタバレ食らったらどうしよう?」

 

たとえば僕はこんな風にウジウジウジウジ考えてるわけですけど、この会社の社長であるノーランってキャラならホームシアターみたいなんでしっぽり公開前に見れたりするんでしょ?(ことMCUに限っては出演者すらも公開されないとお話の全てがわからない徹底ぶりなのでそれは無いと思いますが)

 

いや、むしろ奴らはMCUを公開前に見れるような千載一遇のチャンスを前にしても「会議だ~」とか言って1秒も見ない可能性すらありますね。というのも彼らはまったくそうした遊びに興味がない。メインテーマのひとつであるポップカルチャーに、ノーランはまるで関心がなく、そうした意味でも主人公含めその視点を通した僕たち観客とは対立するキャラクターです。

 

一言でまとめますと「何か気に食わないし、すげー悪そうに見える」です。

なのでベン・メンデルソーン演じるノーラン・ソレントが悪役として映っています。ここまでは皆さんも納得してもらえると思います。

 

ちょっと待って!組織で挑むのは反則じゃないよね?

 

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さて、本題はここから。そんなノーラン・ソレントですが、彼は本当にそこまで悪い人間だったのでしょうか? これが今回の記事のテーマです。

 

この映画では夢を抱いた子供vs 汚い大人 という図式が成立しています。たしかにIOIは気に食わないです。

 

主人公のパーシヴァルもといウェイドの住まいを爆破してしまいますし、拳銃を付きつけてまでオアシスの権利を奪い取ろうとします。たしかに超えてはいけない一線を踏み越えてしまっているので、結果として悪者として機能しています。しかしどうでしょう?もし彼らが犯罪行為に走らなかったとしたら……?

 

目標(ゲームクリア、それにともなうオアシスの権利獲得)に向かってその課題に最も適した仕組みとルールを作って組織を運営することは間違いでしょうか?主人公サイドだってチームで戦っているわけですから、それ自体は反則じゃないはず。

 

クリエイターとして、イノベーターとして見た場合にそれはやっぱりナンセンスかもしれません。新しい時代を牽引するテクノロジーのアイコンはやっぱり会社ではなく個人。人の敷いたルールの上を歩くだけではテッペンは取れないんですよ。実際にスピルバーグだって飛び込みの単独行動で自ら映画界の人脈を広げていったのですから。

 

0→1において団体戦はあまり意味がないかもしれません。1→10あるいは1→100ではどうでしょう?組織の大きな歯車が不可欠ではないでしょうか?用意されたステップ(仕組まれたゲーム)を登りつめるにおいては、膨大なトライアルアンドエラーのデータべースであったり、効率的なルールを作るという選択はひとつも間違っていないのではと僕は思います。

 

トップランナーにはなれなかったかもしれません。優等生の彼はレールを外れることができない。けれども、レールさえそこにあればかなり優秀な速度で走り抜けることができるタイプの人間なんですよ、このノーラン・ソレントという男は。器用すぎる器用貧乏なんですよ、コイツは。

 

実際にノーランって何もしてない。でもそれがスゴイ!!

 

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ノーランは自らの手でほとんど何もしていないんですよ。

 

普段のゲームも従業員に丸投げ。爆破やカーチェイスなど、リアル面での攻撃はクライマックス以外はハナ・ジョン=カーメン演じるフナーレ・ザンドーに一任。バーチャル面でも最終的にはどうにもならなくて自分で手を取りますが、序盤はアイロックに委任しています。

 

スーツだって社員に着せてもらってるし、ポップカルチャーの知識が必要なときはイヤホンからの音声に頼ります。

 

自分の苦手なこと、出来ないことは全部外注するんですよ。自分より優れた人がいれば全面的に信頼して仕事を渡しているんですよ。これってすごいことですよね?しかもどうにも手が足りないなら自分も現場に向かう。すごい良いリーダーじゃないですか?高慢で自分勝手な印象がありますが、その実は正反対。必要であればくだらないプライドを簡単に投げ捨てることができるんですよ。

 

最後の投降のシーンだって警察に囲まれたとわかれば言い訳ひとつ溢さずに潔く両手を挙げました。法に触れるという悪手をとってしまった彼ですが、失敗すればその事実を素直に受け入れます。このさっぱりした冷静な姿勢は一朝一夕に身に付くものではないでしょう。

 

雇え!

 

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ピラミッドの下層には人権がないかもしれません。けれどもそれはある局面では「個」を消すことこそが最も効率的だから。一方で上層部の「個」はこれ以上になく尊重している。このダブルスタンダードが会社を存続させ成長させていくのに必要なんじゃないかな?

 

ノーラン・ソレント、直属の上司なら絶対に良い奴だよ。付いていきたい。雇ってくれ。僕はゲーム出来ないけどさ。

 

 

おわりに

 

いかがだったでしょうか。「 ベン・メンデルソーン演じる悪役ノーラン・ソレント、実は滅茶苦茶良い奴説」にお付き合いいただきました。


何を隠そうオタクのためのリピート映画。今度見る時はこういう視点で、もう少しだけ彼に寄り添って鑑賞してみてくださいよ。

 

 

 

 

謝謝