映画のウェブログ 「け」

23歳無職、自称映画ライター。本当に無職。

『グレイテスト・ショーマン』 面白かったしもう難しいこと言うのはやめてあげようよ

グレイテスト・ショーマン』見てまいりました。

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旅行中に休憩がてら見たんですけれど、まさに休憩に丁度よい映画でした。主人公P.T.バーナムの信念に沿ったゴリゴリのエンターテイメントでしたね〜。最高〜。

いまから辛気臭いことを書くかもしれませんが、とりあえずブチ上がる最高の映画であることは間違いないです。最高!!


さて。

 

サーカス――つまりフリークショーの祖をとりあつかうこの映画。その内容の細かいところに少なからぬ批判も集まっているようですけれど……。「エンターテイメントだからそういういことを言うのは野暮」というのは乱暴過ぎますが、今回に限ってはもう仕方がないと思います。

というのも、僕の結論から先に申し上げます。所謂ポリコレみたいなものを要求するのはもうやめにしようよ。そういう難しいことを求めるのは諦めようよ。でもほら、歌とダンスが良かったじゃない。それでいいじゃん?

 

 

 

 

 

そもそも……

そもそもサーカスって「ああいう」ものなので、その嫌悪感を払拭するのは難しですよ。もうこればっかりは監督(マイケル・グレイシー)のせいじゃない。


freaksってどういう意味か考えてくださいよ。
エレファント・マン』とかあの辺の映画でもあるようにサーカスって元々サイテーのもんなんで。もちろん日本でもあったらしいですよ。怖!

 

まあ別に現代でもありますよ。たとえばLGBT。ゲイの人たちがかつて「オネエ」だった頃。そしてさらにその前――ゲイでもオネエでもなく「オカマ」だった頃の時代のテレビって突き詰めればそういう事でしょ?ハフィントンポストなんかで散々書かれてたけど。

 

この話は一旦保留して再びグレイテスト・ショーマン。freaksを扱うのは一見残酷かもしれませんが、じゃあファンタジー色を増し増しにして「ゴム人間です〜」とかやった方がよかったですか?いやいや。むしろそれは悪だと思います。目を背けたくなるような事実から目を背けても良いんですか?僕はそんなあなたからも目を背けずこれを書いて届けますよ。あったことは仕方ないじゃないですか。

 

それでも際どい?

それでも際どい――というか何となく納得の行かないという方も少なくないはず。これはひとえに脚本の心理描写の薄さが原因かと。

ドラマというよりかはバーナムの半生をなぞりながら興行のあがったりさがったりを描いている所が大きいので、「なんでこういう状況になったのか?」という所にそこまで目が向けられておらず「こういうことが起こりましたよ」という年表的な羅列という印象は否定できない気がしますね。

 

ただしその年表的な出来事の数々をテンポよく伝える手腕はさすが。映像でチャキチャキ見せてくれています。だからもうそれでいいじゃん!十分だよ!僕はもうそんなふうに思ってます。

 

もう難しいことは求めていはいけない?

『ララランド』のチームが手がけるということでも話題になっている今作、比較して語られることも少なくないですね。

でもララランドの時だって、同じだったじゃないですか。白人のゴズリングさんが勝手にジャズの復権の使命感に燃えて、その割には大したビジョンも無かったり。エマ・ストーンは結局舞台俳優になりたいの?映画女優になりたいの?お互いが好きになった理由ってなに?顔とタイミングとしか思えないけど?

 

それでもやっぱり歌とダンスで見入っちゃったし、そうした映像と音楽の「くすぐり」みたいな強制的な力で物語を底上げできちゃうんですね。結局ララランドで僕はメチャクチャに泣きましたよ、こんだけ穴だらけなのに。

 

デミアン・チャゼル繋がりで言えば『セッション』だってあれ J.K.シモンズが尊敬できる音楽家だっていう保証がどこにもないですよ。「なんか凄い人らしい」というガバガバの論拠でしか物語を追うことが出来ない。圧倒的な音楽と時折見せられるバイオレンス。これもまた「くすぐり」で僕達が何を考えて言おうが否応なくスクリーンに吸い込まれてしまう魔力を持っているんですね。頭ではわかってるんですけど、身体はアドレナリンでびちゃびちゃなんですよね。

 

――とまあそういう見方で良いんじゃないかな?と僕は思いました。『グレイテスト・ショーマン』、別にいいじゃん。面白いんだから。くすぐりでも良いし。そもそも劇中の劇場だってそういう姿勢だったから文句ないと思います。お堅い連中は相手にしていないらしい。

 

逆に

逆に重層的な意味を含んだ作品だった場合を仮定しましょうよ。背理法的に考え直してみましょうよ。

 

たとえばアメリカ史において人権への意識がどのように向上したの?
たとえばショービズの世界で活躍するユダヤ人とそのアイデンティティ
たとえば暗喩としてこっそり忍ばせられた現代に適応可能な何らかの皮肉。

 

仮にもこういう要素が組み込まれていたとしましょう。デートムービーとしてこの作品がチョイスされてもヤツラはそこまで読み取らずにサラサラッと消化して終わり。

 

「面白かった〜インスタグラムに半券アップしよ〜」みたいなズルズルの感想がアナルから出てくるに決まってる。そんな人たちに僕等はイライライライラするはずですよ。絶対そうですよ。断言します。インスタグラムに半券アップすな。僕に見せられても何を安くしてあげることも出来ないです。プライスダウンされるのは貴方のチープさくらいですよ。

 

なまじA面がバッチバチに面白いエンタメだからこそ、B面を読めない人たちもこぞって映画をもてはやします。となれば余計イライラする。イライラしないはずがない。

 

そう、だから『グレイテスト・ショーマン』はこれでよかったんですよ。これくらいの温度が、これくらいの濃度が一番丁度良い。

 

とにかく

難しいことを考えなければ面白い映画です。難しいことを考えては行けないタイプの映画です。難しいことを考えなかったので僕は面白かったです。

 

 

 

おわり

 

 

 

 

(追記)
あとヒュー・ジャックマンは「ヒュー」でもなく「ジャックマン」でもなく「ヒュー・ジャックマン」なの、「阿部寛」みたいじゃないですか?

 

 

 

グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)

グレイテスト・ショーマン(サウンドトラック)