映画のウェブログ 「け」

23歳無職、自称映画ライター。本当に無職。

普遍的なエロ。映画『青春夜話 Amazing Place』は老若男女が勃起する?(考察、分析、批評あるいは解説)

映画評論家の切通理作さんによる初の監督作品『青春夜話 Amazing Place』。第七藝術劇場にて見て参りました。

 

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© 映画 『青春夜話 Amazing Place』



 

 

 

 

映画について(ネタバレなし)

 観客をざざざ〜っと音が出るほど大きく選ぶ手触りの作品であることは間違いないですが、僕は好きでした。

 

それにしてもエロい!!エロいなこれ!!

予告やフライヤーではそんな空気まったく無かったのに。すごく良い。教室セックス、プールサイドファック、絵具まみれの絡み合い、などなど………。この世のスクール助平の全てがここに詰まってるといって過言ではないですね。難しいことは抜きにして一旦抜ける作品。

 

youtu.be

 

 

普遍的なエロさがそこにある

そして最も重要なのはメインの2人は滅茶苦茶にセックスするんですけど、決してセックスが映画の目的ではないということです。したがって単なるピンク映画ではない素晴らしい映画作品へと仕上がっているんですね。

 

性行為、もとい女性の肌の露出って「レアだから」興奮するわけじゃないですか。例えば学校でセックスとか普通出来ないし。フェチ、性癖なんてものはさらにその尖った形。アダルトコンテンツの中でも数少ない性的嗜好が一部のファンに熱狂的に神格化される。このあたりはWebの世界でも一緒ですね。マイノリティに寄り添うコンテンツこそが長期的に重宝されるわけです。

 

そういうわけで、並のアダルトコンテンツは女性にとってはエロくないはずです。女性の身体、あるいは性的な一面。これは我々男性にとっては垣間見ることのできない一面ですが女性にとっては当然そこにあるものなんですよ。珍しくも何ともない。したがってエロには繋がらない。

 

しかし青春夜話は男性だけが楽しめる俗な映画ではないんですよ。ここで描かれているのが2人の関係性だからです。(もちろんそれだけには限りませんが、ことセックスにフォーカスを当てると、です)

セックスを通して形成されていく関係性。平たく言えばイチャラブセックスということになりますが、このイチャラブは非常に稀少。

「二人がお互いを深く理解し合う」という一過性の体験を描きます。一度きりしか訪れない関係構築の過程だからこそ、彼らのセックスは貴重。その価値が極限値まで高まっているのです。もちろんこれは性風俗なんかでは得難いものだと断言できるでしょうしAV鑑賞ではなおさら。もちろんイチャラブ以外の仕掛けもあります。しかしそこは是非ともご自身の目でお確かめください。

 

普遍的なエロが散りばめられたこの作品。これを理解していなければ濡れ場で乳首から何からガッツリ映した後のシークエンスでも執念深くパンチラ描写を盛り込むということは無かったはずです。深琴さんの身体つきや下着のディティール、野島喬役の須森隆文さんの演技にもこうした拘りが滲み出ていると思います。画だけではなく、物語やキャラクターを通して男も女も勃起させる映画的なエロを実現させています。かといって画が重要でない、弱いというわけではありません。撮影監督が自身も女優として活躍する黒木歩さんということもあってか、非常に力強い官能表現が魅力的な映画でした。

 

基本的なあらすじや上映情報などは公式サイトにてご確認ください。

 

seishunyawa.com

 

神戸の元町や京都の出町座なんかでも予定してるみたいですね。ご近隣の方は是非! 

 

【余談――舞台挨拶レポ――】

 

監督による舞台挨拶もしっかり見てきました。

 

 

そしてわけあって僕も登壇することに。 真ん中に座っている花柄のシャツのいけ好かない若者(まだ若いよね?!)が僕。突然の急な登壇依頼ということで身なりがいつも以上に汚いですが、そういう隙も含めて愛していただければと思います。

 

「友人の私小説が元ネタ」という制作誕生秘話、「その小説の作者が途中で首を横に振ってしまい大きく内容を変更した」というようなエピソード、あるいは監督の作品に対する想いはどれもこれも興味深い。特に「映画批評家という肩書の自分が作品を作ること」への姿勢には危うく感涙するほどの美しい真摯さがありました。下世話ながらご予算のお話なども聞くことが出来て個人的には大満足でした。

 

映画評論、という仕事を長く手掛ける切通さんは観客が作品を見た後は何を求めているか、ということへの肌感覚が優れていらっしゃるんでしょうね。

 

【さらに余談――映画批評家切通理作のワークショップ・レポ】

僕は今回こちらの作品を大阪十三の第七藝術劇場で鑑賞したわけですが、「監督が舞台挨拶に関西までいらっしゃるということで、どうせなら映画批評家切通監督に批評のワークショップをしてもらってはどうか?」ということで劇場と同じビルにあるシアターセブンにてワークショップが行われていました。……と、ここまでは上で引用したTwitterに書かれていた通りですね。

 

 

 

僕はこちらにも参加。自称映画ライター……とはいえ歴は1年にも満たないので勉強できることは何でもしておこうと。2日間、計7時間にもおよぶWSは脳がちぎれるかと心配になるほどハードなものでした。受講者は5人。時間のタイトさもさることながら空間的にもかなり密なものでした。たとえば「批評と感想はどう違う?」「とはいえ感想もとい  “俺論”がある方が面白い文章になるのでは?」というような批評に対しての様々な意見が飛び交ったり、それぞれの評を通して個別の作品に対する多角的なものの味方が出来て面白かったです。

 

これは批評、という大きな枠組みにとらわれず作品毎のミニマムな枠組みで読書会のようなイベントにしても面白いのかもしれないですね。

 

  

切通先生へ

 

読者の皆様には申し訳ないですが、私信です。

ワークショップを一度受けたからには切通さんを先生と勝手に呼んでも問題ないハズ。デキ婚のような強引さをもってして遂行されるエゴイスティックな弟子の押し売り、大変恐縮ではありますがご了承ください。

 

WS当日は体調を壊してしまい1日めの宿題の原稿を書くことが出来ず、5人の受講者の中で僕だけが口頭での評論となりました。今回のこの記事を改めてその課題とすることにいたします。先生、いかがだったでしょうか?

 

…… という

こうしたパーソナルな事情は事実である以上はどうやっても否定することができません。かといって、そういう中途半端なヌルいゴマすりでこの記事を書いているわけではありません。人間はそんなくだらないモチベーションで3000字近い文章を書けませんよ。(お金も出ないし!)

そんなわけで映画『青春夜話 Amazing Place』、本当に面白い作品でした。映画を批評する立場の人間が作っているからこそ(というような表現はご本人は喜ばないかも知れませんが)立体的な物語にしあがっていると思います。

 

正直なところを言えば序盤のカメラワークなどは荒くシームレスに物語に没入できるとは言いきれません。当初は予算50万円を予定していた自主映画なだけあって、そうした細かい減点ポイントはやはり否定できません。ただし、「あのラストシーン」を見ればそういったことはもはや気にならなくなるはず。僕がそうでした。オススメです。みなさま是非ともご覧ください。

 

 

 

 

 

 

【コマーシャル】

 

ブログの他にも今までに僕が色んな媒体で書いた全ての映画記事をFilmarksにまとめています。インスタグラムのような一覧画面からひと目で作品を見つけることができるので便利かと。

filmarks.com

 

良ければこちらもご贔屓にお願いします。

 

 

 

 

おわり